うわごと
抱っこなのかしっこなのかゲップなのか云々。 *** 子を起こさぬよう暗闇の部屋へ入ろうとしたら 壁に頭をぶっつけた 目から火花が出て 視界に白いストロボがとんだ 痛みより星に気をとられて そのままフトンへ吸い込まれた
二等の設備は窮屈で、陰気くさく、三等となるとむしろ貨物として積み込まれた方がマシなくらいである。それでも陸路に比べれば、三等だってピクニックに行ったようなものだ。 *** 短い通路のつきあたりにある小さな客室には、一組の椅子とテーブル以外に…
少し前に発見した電子パーツ屋の隣にある食堂然としたインドカレー屋の店名は『マドラス』・・・どうも気になる。 *** うっすら前回の続き。 krokovski1868.hatenablog.com 【理力】・・・フォースのこと。→【フォース】 【フォース】・・・力のこと。→【…
時計は止まってはいないが止まっている風をして私を欺いた。 *** からっぽの噴水はとてもかなしい。それはまるで時空の淀みに置き去りにされたように見える。何か不当なはずかしめを受けているように見える。ワリを食っているようでもあるし、たんに忘れ…
この街はさほど遠くない昔に有名な藩主によって建設されたもので、街の歴史の中で殆ど唯一知られているのは、このぼんやりとした一事のみである。 *** 牡蠣のように沈黙した街だ。ここでは誰か1人の覚えていたことはみんなが覚えている。全員がとてもた…
うまい棒―12円(税別) ノスタルジー度・・☆ なんたって今も現役。 ジャンク度・・・・☆☆ 舌を痺らす怪味の数々。 名作度・・・・・・☆☆☆ ほぼ全国民が知っている。 (株)やおきん不朽の名作。2022年4月現在でそのラインナップは60種類以上といわれる。1979…
魚釣り病、ではなくて。ワクチン4回目でぶっ倒れたという話。 *** 来月にどうしても外出せざるを得ない用事が入ったので、急遽打ってきた。またぶっ倒れるかと思うと憂鬱である。そしてせっかく岩に行きだしたというのに、また振り出しである。イチから出…
Search and Destroy! 捜し出して、ぶっ壊せ!
高校の頃、日本史の先生が江戸時代の何ちゃらを黒板に書きつつ言ったことには「どんな名君も晩年には少し狂ってくる」のだそうだ。たしかにそうかもしれない。 *** 「美醜や善悪なんてない、あらゆるものは等しく美しい」、あるいは有名なコピー「みんな…
コドモノクニの隣には大人の国があり、5つの赤い風船が浮かんでいる。鏡を通り抜けた先は昔のメロディが流れる場所、そこではシステムの仮想メモリは無限大で、なくなる恐れはこれっぽっちもない。 *** 今日は休みたい。できれば明日も休みたい。もし叶う…
K氏は予定を立てるのが好きではなかった。束縛されるようで、嫌だったのである。 にもかかわらず、これからのことをメモするのは、彼にとって習慣となっていた。それも日に二度、三度ではない。何度も書くのである。 K氏は何にでも書いた。それは紙ナプキン…
また非常階段から切り取られた空を眺める日々がやってきた。変わることもあれば、変わらぬこともある。暫く海を眺めていれば、そのうちに溶けてなくなるだろう。おそらくは。 *** 眠っても眠っても調子が戻らない。戻らなすぎてこれが普通なんじゃないか…
「見てわかんねえ奴に言ってもわかんねえ」 ―『大岡越前』― *** 話しても駄目なときもある。話し合いにならぬこともある。そんなときは静かにしていればいい。この歳になってようやくそれがわかりだした。本当に、言っても無駄なのだ。言葉で説明してどう…
意に沿わぬことをあまり長く続けない方がいい。乗れないものにいつまでもくっつかないほうがいい。継続することはあるいは可能かもしれないが、致命的に損なわれてしまう。スポイルされてしまう。 *** 人は貨幣によって動かされる。これには異論ない。だ…
自分で手放したのだ。最後の手綱を離したのだ。 「もうお前はどこにも行けない」そうペングィンは言った。 「うるさい、ペンギン風情が何を言いやがる」僕は悪態をついた。 ペングィンは哀れんだような眼で僕を見た。彼の羽根が細かく震えていた。彼は言った…
【近代】・・・進歩主義という名の幻想。 *** 辺りは霧に包まれ、歩んできた道もわからない。長く歩き続けたために目はかすんでしまって、進みはじめたときにあれほどはっきり見えていた目的地は、今やおぼろげな灯りでしかなく、どの方角にあるのかさえ…
神話、それは物語の原型であるとともに、世界の解釈でもある。 *** 知り合いに「もし地上から女がいなくなったら、地上は神々の世界になるだろう」と言った奴がいる。ちなみに彼は筆者と一緒でまったく女性にモテない。 ふとした機会にそれを手近な女性に…
さてそれから春風秋雨、十年の時が流れました。 *** トンネル。一直線に伸びる白色灯。通り過ぎる電車と、それが連れてくるつむじ曲がりの風。 外には細かい雨が降っているから、トンネルの出口は白くぼやけている。うすもやの中に電柱と高架が続いている…
この街の太陽にはまったく愛想というものがない。むかし湘南を訪れたときも同じことを思った。サンダルの足が燃え出してしまいそうだ。 人の多さもさることながら、かくも非情なる太陽のもと、人々は奇妙に無表情に歩き回っている。その眼差しからは彼らが何…
お元気でしょうか。 閑職になり(元々ですが)皆様のスケジュール上を散策しておりましたら、Sさんが長期休暇になっているではないですか。腰を抜かしてしまいました。 お病気ではなさそうですが、やはり見限ったということでしょうか。 やあ、どんどんお知り…
「事物は一緒になるためにはまず離ればなれにならなければならない」 ―G・ジンメル― *** 引用に関するあれこれ。 ・引用は元ネタを知らないとできないし、受け手もそれを知らないとわからない。ゆえに楽屋オチ的な側面がつきまとう。 ・引用元と先が主従…
若者に余裕がないのは当然だ。余裕のなさはすなわち可能性で、それが若者を若者たらしめているからだ。こんなはっきりした証明はないと思うのだけど。 *** 自由ほど不自由なものはない。自由は孤独で、それゆえに担い難い。 自由は常に不安定である。パタ…
ときおり引用されているようだけれど、世界でもっとも短い手紙は、ユーゴーが『レ・ミゼラブル』を出版した際その版元に出した手紙であるという。その全文は 「?」 というもの。それに対する版元の返事が 「!」 だったというから、これはもう恐れ入り谷の…
流れの中で静謐に。 *** 「飯食わないと集中力落ちる」とか「気ィ張ってると回復しない」とか、いわゆる「~する(しない)とうまくいかない」という文型は、まあ言い訳としてはイマイチだ。さりとてどうすりゃ上手くいくのかまで分かっていたら苦労しな…
「予言にあった星のアザをもつ男、とは主のことに違いない」と見者(ヴォワイヤン)は言った。 居並ぶ住人たちはどよめいた。「では彼が救い主なのだな?」と長老らしき男が言った。見者はおごそかに頷いた。 「冗談じゃない」と僕は言った。「これはただの日…
「おい君、背中にヒトデがついてるぜ」そうペングィンは言った。 「このままじゃヒトデ型に日焼けしちまうぞ」 我々は次の街に向かって地上数万メートルの空を飛んでいるところだった。雨は既に上がり、雲もどこかに行ってしまって、太陽が我々の背中を焦が…
「雨は旅の合図だ」とペングィンは言った。「我々は風になって次の街へ向かう」 「何ていう街だい?」 「次の街に名前はない」とペングィンは言った。 果たしてペンギンが空を飛べるものなのかどうか、僕は訝んだ。それを察したかのようにペングィンが言った…
何もかもから遠く離れて、新たに始めたと思っているのに、多くのことは意に反して記憶から消えない。 記憶は改変される。記憶は作られる。それは単なるデータではなく、生きていく中で我々の体験をフィードバックし、その時々で新たな光をあてられ、別な意味…
邦題『何てこったい』。・・なんてこったい。
宗教家は煙山に着くと、煙草のけむりをいっぱいに吐いて、医者の来るのを待ちました。医者はといえば、突然に視界をふさがれたうえ、煙をしこたま吸い込んだので、動くのもやっとの有様でした。 突然、医者の肺の中から声がしました。 「右だ。右へ寄りたま…