ぶら下がり日誌~ボルダラーへの道~

釣りときどき岩、そして

指力

 手指のトレーニングはものすごく人気があるのに、足指に関するそれがあまり見当たらないのは何故だろう。岩との接点でいうなら、足指だって手指と同じくらい重要な筈である。

 

 おそらく手と足、という風に捉えるから、手を優遇してしまうのだ。前脚後脚と言い直そう。パワフルな後脚のケアだと思えば、ストレッチに対するモチベーションも少しは上がりそうである。前腕のコンディショニングと同じ熱心さでふくらはぎをケアしたら、登りも変わってくるやもしれない。

 

 指力に関しては、英国のレジェンドクライマーのジェリー・モファットが「岩と接しているのは指であり、したがって指力はおそらくあらゆる力の中でもっとも重要だ。いくらあっても足りないもの、それが指力である」などと言っている。

 

 モファット氏は今でもクライミング動画に出ているのを見ることができるし、自伝も出ていてとても面白い。読むのが面倒な向きには『Real Thing』がいい。これを観ずして現代のボルダリングシーンは語れないと言われるほどの名盤、だとその昔ジムのオーナーから聞いた。ベン・ムーンもヤバいけど、ジェリー・モファットがひたすら格好いい。DVD化されているので見かけたら是非。

 

 DVDでは同じく名盤『Rampage』は外せないし、近年では『Western Gold』『Life on Hold』あたりは買って損はないだろう。あと気になるのはビデオでしか出ていないという『小川山の日々』や『In Tokyo!』かなあ。誰かDVDで復刻してください。切実です。『One Summer』もDVD化されていないもよう。若かりし日のベン・ムーンが躍動しているというこの作品も観たいなあ。アレ、youtubeで見られる?

 

 話は飛ぶが、平山ユージさんがどこかでフットワークについて語っていたのがあって、「見て、置いて、踏んでいく」とかそんなだったと記憶している。あとは三拍子という捉え方もある。ごく簡単な課題だとなりやすい。つまり手―足―足、手―足―足のリズムですね。別に一定のテンポになる訳ではないが。何せクライミングの速度、緩急は本当に人それぞれである。

 

 あまりにもひとつのタスクに意識を集中しすぎると、他が固まってしまうことがあるから、ある程度までリズムに委ねてみるのも、何かの糸口になるかもしれない。悪い足に乗り込むとき、大抵は惑い、逡巡し、躊躇する。流れが途切れそうになる。そんなときに「見て、置いて、踏んでいく」の3ステップに己を委ねる、そこで大事になるのが信じること―ビリーブです!―で、それは各々が経験から醸成し、絶えず裏打ちし続けねばならない、そういうことなのかもしれない。