ぶら下がり日誌~ボルダラーへの道~

釣りときどき岩、そして

キャンパシング(2)

 キャンパシングよもやま話。

 

・とにかくウォームアップをしよう。いきなりキャンパしたらあきまへん! ふつうのアップをして、ボルダー課題でアップして、宿題を倒すモードになってから、キャンパスボードの前に立とう。

 

・足を使おう。ウォームアップはおわった。でも、キャンパ用のウォームアップはまだである。ここでフットホールドを使おう。ついてなかったら、ツイてない。何せいきなりダブルダイノとかかまさない方が身のためです。ホント。

 

・肘ですが、伸ばす度に痛むことがあると思う。ホールドをとったとき、伸ばしきらないほうがいい。どうしても距離出しのときは伸びきってしまうものの、これだと筋肉よりも関節と腱に負荷がいってしまって、トレーニング的にも効果は下がる。

 キャンパスボードの問題点は一手ずつの強度が高すぎることで、次のラングを余裕を持って掴めるようになればいいが、伸ばしてギリギリ届く状態で頑張ると、この辺の負荷がエゲツない。フィンガーボードだと漸進的な調整ができるんだけどなあ。

 細かな負荷調整には、怪我の予防だけでなく、進歩を見えやすくするメリットもある。もし、次のラングまで行こうとして腕が伸びきってしまうようなら、ラングのサイズを変えるか、キャンパ種目を変えるか、フットホールドを使うかして、その動きを避けるに如くはない。

 

・肩についても、骨でぶら下がらないよう注意が必要である。肩を入れて、つねに首が左右に動かせる状態にしておいたほうが望ましい。骨ぶら下がりでキャンパを何回もやるとインピンジメントだの腱板だの、よくないようである。伸ばしきらない、関節と骨で支えない、筋トレだから筋肉で支える意識を持つのが重要である。

 もちろん登っている時は別で、使えるものは全身すべて使って登ればいいのだが、キャンパはトレーニングなので。

 

・筋肉よりも腱や関節に負荷がかかってしまっては意味がない。とくにこれらは高強度の神経系トレーニングそのものでは鍛えられないという説もあるからなおさら。これは実は重要なポイントで、キャンパシングの開始目安に一定のクライミング年数が入っているのは、そのせいもあるものと見られる。

 

 ちなみに、腱や関節は、中程度の努力レベルで量をこなすクライミングで強化されてくるとのこと。デフォルトで身体能力の高いひとは、はじめてすぐに強くなって、ここでもっと強くなろうと思ってキャンパをすると筋肉だけがさらに適応することになって、関節と腱の強度がいよいよ追いつかなくなってくる。

 

 早く強くなりたいのはわかるが、まずクライミングをしよう。怪我したらツマランです。ほんとうに。

 

・現在のボードの間隔のひとつのスタンダードは英国シェフィールドの「スクールルーム」(ベン・ムーンらがトレーニングしているMoonの)22㎝。ちなみにオリジナルのキャンパスボードの間隔は1-2だけ23.5㎝で、あとは20㎝なのだとか。

 

・ラングのサイズは0.75インチ(小)、1インチ(中)、1.25インチ(大)がひとつの目安になっている(メトリウスのキャンパスラングのサイズ)。

 

・ひとまずキャンパシングはパワートレーニングでプライオメトリクス(伸張反射を使った動き)により神経適応を促すものである。その最たるものがリバースダブルダイノ。一手ずつ静止すればロックオフトレーニングもできるけど、キャンパの面目はプライオメトリクスにある。

 

・ラングのサイズと角度。これはけっこう重要であるものの、パートタイムクライマーには選べないので、ホームジムのラングがじぶんの指のサイズに合わない―どうも関節にきてしまう―ようなら、ボルダーキャンパスにしたほうがいいかもしれない。このへんはいろいろなジムのボードを触ってみて判断するのがよさそう。指のサイズによっては3本と4本のどっちつかずになることがある。ハの字っぽく持つと助かることもある。

 

・ラングの大きさに対する考えかた。キャンパスボードは本来的にはパワートレーニングのためのツールだから、大きいラングで大きいムーブを行う、すなわちパワーを高める、そこからはじめるのが王道である。大きなラングでは飛ばせすぎて種目が行いづらくなったら、中くらいのラングに移り、それでも物足りなくなったら、ようやく小さいラングのことを考える資格が与えられる。小さいラングでキャンパするのは凄そうだが、だいぶ先の話だと思っていたほうがいい。

 

・ちなみに小さいラングに慣れる練習じたいは有効で、片足をフットホールドに乗せた状態で、片手をスタートラングに、そこからできるだけ遠くにとんで、小さいホールドを掴む。これは純粋に接触筋力を高める練習になる。掴みかたを身体に覚えさせ、きびしいホールドをダイナミックに取るためのメンタルの準備をするのにも好適である。

 

バンプの距離を伸ばすのは、フットホールドなしでは大変かもしれない。強いて言えば、最大離れた状態から一手だけ練習するのが実践的かと思う。ともあれ、基本的にラングは大→小の順で練習していくのがよいと思われる。

 

・・・しかし長いな。トレーニングプランについてはまた次回。