イカンゴレン

 「俺には関係ないや」とうそぶき続けていたら、いつの間にか30を過ぎていた。この行き方で幸せになるのはどうやら難しそうである。

 

 人生に対する態度決定、これをいつまでも保留していたら、自分の人生を生きる余地がなくなって、ただ流れ流されていくうちに年老いて枯れてしまう。「自分の人生」などというとシラッとするから、もっと別の言葉で肚に落ちる工夫はないものかと、そう思ってそれだけで10年以上使っている。

 

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 6、7年ぶりに学食でカレーライスを大盛りで頼んでみた。かろうじて「米でない」とは言えない白いふさふさの上に茶色の絵の具がドロリとかけられる。ぜんぜん美味そうに見えない。絵の具は数秒でも放っておくと表面に膜を張ろうとして、口に運ぶ以前にその脂の粗悪さとカロリーの膨大さを予見させる。

 

 当時学生であった僕は、最後にこれを食べたとき「これは食事ではない。猛り狂う胃袋をなだめるためのものであって、比較的毒性の少ないものを摂取する作業に過ぎない」と悟った筈であったのに、10年以上経ってからまたぞろ同じことを繰り返している。カレー自体も進歩がないが、食べている人間もおんなじだというのだから文句のつけようがない。

 

 そう、歴史は繰り返すのだ。わかっていてもやってしまうこと、犯してしまう間違い、それらはものによっては死ぬまで正されることがない。やれやれ、参るねえ。