映画の話2

 急な誘いで『シン・ゴジラ』を観に行ってきた。ゴジラといったら松井かというくらいで、モスラビオランテも脳裏をかすめないほど遠ざかっていたから、はっきり言って「忘れていた」とした方が近い。しかしながら今回フラットな気持ちで観てみたらかなり面白かった。

 

 まあ何だ、あんな巨大生物がいきなり出てきたらそりゃあワチャワチャするよなあ。安易に攻撃して市街地を火の海にするわけにいかんし、対策しようにも法律はないしマニュアルなんてあるわけない。住民も避難させなきゃだし、そもそも彼奴にどれだけ害があるのか未知だし、もっと言うと何考えてんのかもわからん。

 

 そう見てくると怪獣映画って「何考えてんのかわかんない奴が近づいてくる」意味ではホラーだし、巨大生物はたいてい動くだけでインフラをぶっ壊すから必然的にパニックになるし、倒すにせよ追い返すにせよ大捕り物になるからアクションだし、巨大生物が出現する設定からしてファンタジーだからいろいろと突飛なこともできるし、観る方も観る方で「何でこんなデカいのがよりによってこの国に現れたか」なんて考えだしてしまうからミステリーだし、要するにテンコ盛りなんだな。スペクタルってことですね。

 

 監督は庵野秀明氏。キャリアの初期にウルトラマンものを撮っているみたいだし、円谷スキなんだろうな。気がつかなんだが小ネタもたくさん散りばめられていたのだろう、きっと。

 

 作品としては突っ込みどころはけっこうあるし、すべてがかみ合った最高傑作というわけではないと思う。でも傑作なんていくばくかの偶然と運と巡り合わせがないとそうは生まれないのだから、本作が必ずしもそうでないからといって非難するのはあたらない。

 

 シリーズをずっと見ている人からすると不満は残るのかもしれないが、押さえるところは押さえていたと感じたし、これだけの大作をまとめ上げる手腕はやはり庵野さん凄いと思う。無意味な仮定ではあるが、向う20年くらいでもう2作メガホンを取ったら超傑作ができるかも、と思った。

 

   個人的には十分満足した。オススメ。