六道

 我々のゆくてに向かい風が多い理由。

 

 普段の生活の中で「なんだか向かい風ばっかだなァ」と感じる人は少なくないのではないだろうか。歩いている時もそうだし、走っている時や二輪車に乗っている場合など、スピードを上げたいと思う時に限ってアゲンストにあって腹の立つ人もいるだろう。

 

 結論から言うとただの錯覚なんじゃないかって、そんな話なのだけど、これまではずっとマーフィーの法則のようなものかなと思っていた。自分に都合の悪いことの方が些細なことでも記憶に残りやすいので、追い風よりは向かい風が多いように感じるのだと。

 

 それでついさっき気がついたのは、身体の前面に受容器官が集中しているからではないかということで、背中に目がついてるわけでないからわずかな追い風をそれと気づかずなかったことにしているのではと、さっき無風の中を歩きながら地面に落ちた糸くずに追い越された瞬間ふと思い当たったのである。

 

 ひょっとしたら人生についても同じなのかもしれない、といったら大げさすぎるか。ふとした気づきに満ちた人生は逆風ばかりでも順風満帆でもなく、実は「思うよりやや順風」というのが幸福な実態なのかもしれない。