立像

 さいきん、諸星大二郎の漫画をよく読んでいる。大げさにいえば「我発見セリ(ユリイカ)!」という程の衝撃だったのだが、有名といえば有名なので「何をいまさら」という話なのかもしれない。

 

 古本屋で適当に買っているが、「ん〜これはハズレかも」という作品に出会わない。なん冊か買ってこちらの期待値も上がっているはずなのに、まだ裏切られていない。いやァ、こんなに面白い作品を今までどうして見のがしていたのだろう。食わず嫌いの理由をかんがえてみたくなった。

 

 いちばんがタッチ―これがけっこう独特で、ホラーとコメディーとナンセンスを兼ね備えた凄い線なのだけど、残念ながらけっしてキャッチーではないしスピード感もない。現代マンガにおいてこの2つは相当重要で、それに限らずこの2つがないとテンポよく読めないから、いきおいブックオフやコンビニでサーと目を通すというわけにいかなくなり、腰を据えて読むとなると買わなきゃならんが当たりハズレが運賦天賦というのでは、ちょっと手がでにくいよなあ。要はつまみ食いを許さない作品なのですね。

 

 別のメディアで広告でもしてくれればいいのだけれど、それ向きでもないのだな。漫画としてのみ桁違いに輝く作品。だからある意味では本当に漫画らしい漫画といっていいのかもしれない。

 

 まっとうが売れなくなってずいぶん久しい世の中だけれど、もっと読まれていいんじゃないかとおもう。ひょっとして知らないの私だけ?