耳にするだけでインスピレーションを与えられる演奏は間違いなく存在する。そのような音に出会えた者は幸いである。
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Junior Mance Trio “At The Village Vanguard”
第一印象は「集中力」かな。ズージャの人が慣れたところでライブを演ると良くも悪くもクルージングしてしまうことがあるが、本作はそれとは無縁。限界付近まで行けば技術の多寡に拘わらず極度の集中が要求されるという普遍的な原則を知らされる。技術が足りなければいつも必死、だけど持てる技術を余らせないためにも膨大な精神の力が要る、という話。
しかし日常的にこのクオリティでライブが行われていた時代があったのだから凄いと思う。この手の録音を聴いていると曲間に客が全然違う話をしているのが入っていたりして「曲聴けや」とか思うことがあるのだけれど、本作も例によって演奏の熱と拍手がまったく見合っていない。
「このくらいは当たり前」ということなのだとしたら、もう何と言っていいかわからない。同時代でもダニー・ハサウェイなんかは客がメチャクチャ盛り上がってるけど。ありゃ別枠か。
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借りる時に「二週間くらいで返すから」なんてほざいていたのに気がついたら二か月近く経ってしまった。たるんどるっ!
