じゃけん

 ときどき、香港映画、なかでもいわゆるカンフーものを無性に観たくなる時があって、それがどんな時かといったらこんな時だとうまく答えられない。

 

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 思うに、カンフー映画の特性とは、観終わった途端に中身を忘れてしまう点にあって、それでもただ楽しかったという記憶だけが残る。僕らは単純に笑い、呆れ、驚嘆し讃嘆し痛快な気持ちになってスッキリする。

 

 香港映画界の雄、サモ・ハン・キンポー曰く、「ハリウッドではスーパーマンが飛ぶ。スパイダーマンが飛ぶ。ヒーローが空を飛ぶ。でも香港映画じゃ、みんなが飛べるんだ」と。日常性とファンタジー、コメディと武、相反するものが一つの映画の中に矛盾だらけのままちゃっかりと収まっている。

 

 ゆえに香港映画はB級でありながら一流であり、フェイクでありながらそこらの本物を軽々と飛び越える。凡のまま非凡、聖なる俗人、そんな感じだ。なんだかよくわからんな。

 

 それで個人的にはブルース・リーよりもジャッキーなのだけれど、この手のものはHappy the Best! なんていって廉価で出回っているから、ついつい買っては観、捨て、また買う羽目になる。レンタルするのは好かんのよ。

 

 ちなみにこの前観たのは『拳精』。まあ何というか、若かりしジャッキーすごいよね、というハナシ。他のことは例によって忘れてしまった。

 

 しかし少林寺ものはとくにそうだが、出演者が似通ってくるのは、演武のできる人間が限られていたからなのだろうか。ちょっとよくわからない。

 ちなみに武林ものは『少林寺木人拳』も良いけれど、やはり『少林寺三十六房』にとどめをさす。

 

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 なんだかまた観たくなってきた。さ、買いに行こう。

 

 

少林寺三十六房(字幕版)

少林寺三十六房(字幕版)

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