アヴィニヨン

 木石のような輩は放っておけ。彼らに血を通わせることはできない。

 

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 さて今年もこの季節がやってきた。寒がりの人間にはツライ季節がやってきた。もっとも私など寒いのも暑いのも苦手―大抵の人がそうだと思う―だが、どっちと言われたら迷わず冬に一票入れたい方である。

 

 こんなとき「どうして冬なのか」と問われて「いや寒いのはたくさん着込めばいいけど、夏は限界があるショ」と答えてそれで理解が得られるかというと、そうはいかないのが人間世界の難儀なところ、得られるのは冬派の共感だけで、この説明は夏好きには響かないということが、長年の研究で明らかになっている。

 

 彼ら曰く「たくさん着込むというのが寒さよりもはるかに嫌」なのだそうで、これに対し「ソフトシェルでも薄くて軽いアウターでも出回ってるショ」などと説得しても無駄である。そのようなものを選んで着ること自体、夏派には耐えられぬのだ。

 

 この辺はお互い理屈を越えてしまっていて、話し合っても徒労に終わるのが常だから、互いの差異を認識して、さっさと次の話題に移った方がいい。ひょっとしたら両者の関係はイヌ派とネコ派を裏返したようなものなのかもしれない、そんな風に思えてきたが、その話はまた今度。アー寒!!

 

 

 

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