ネコネコ島

 男は鋏のように、女は猫のように歩いている。別に反対でも一向に構わない。

 

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 酒がうまくない日はある。こんな時、どうしてうまくないのか、考えてもそれほどいいことはない。それというのも酒は本来うまいものだからだ。

 

 だからこれは何も考えずに飲めていないのが原因と言ってよく、これはとどのつまり飲み手が酒と十全に対峙できていないことを示唆している。酒の飲み方もいろいろだけれど、考えずに素直に飲んだときに立ち現れるのが、その人と酒との関係であると考えて差し支えない。

 

 そう、酒を飲むときは、何も考えないことだ。何かを考えてしまうようなら、それは飲むときではない。

 どうしても飲まねばならないときは、つとめて馬鹿になることだ。それで凌いで、そして仕切り直したほうがいい。手が悪いときは無理をしないことである。

 

 こんな風なごく当たり前のことであっても、むしろそれが当然であればあるほど、ひとつのことが人間の肚に落ちるには、思っているより多くの時が要る。どうすればそれを忘れないでいられるかまでは、例によって筆者の知るところではない。あしからず。

 

 

 

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