ぶら下がり日誌~ボルダラーへの道~

釣りときどき岩、そして

Star Eyes

「予言にあった星のアザをもつ男、とは主のことに違いない」と見者(ヴォワイヤン)は言った。

 

 居並ぶ住人たちはどよめいた。「では彼が救い主なのだな?」と長老らしき男が言った。見者はおごそかに頷いた。

 

「冗談じゃない」と僕は言った。「これはただの日焼けだ」

 

 しかし誰も取り合ってくれなかった。どうやら彼らにとっては僕よりもあのゴロツキみたいな見者の方が信頼できるらしい。

 

 僕は面倒に巻き込まれては御免と尻尾をまいて岸まで逃げ出すと、ボートの安全金具をかなぐり捨てて水中モーターを始動させた。ぶるるん、ぶるるん。