Power of Love

 さて、件の自転車である。釣り場に行く途中の林道脇に停めて、帰ってきたらなくなっていた。茂みに入れるとき「ちょっとデロリアンみたいだな」とふと頭をよぎったのだが、本当に忽然と消えた。不法投棄と間違えられてしまったのか。謎である。

 

 その場で家人にLINEで相談したら「いちおう警察に知らせたほうがいい」ということで、人生初の110番と相成った。電話口で「事件、事故の~」と言われたので「自転車がなくなっちゃっただけなのだけど、110番してよかったでしょうか」と訊ねたところ、大丈夫だという。

 

 最寄りの警察署で被害届を出してください、ということだったので、昨日は朝から出かけてきた。刑事課に通され、小部屋できっちり事情聴取を受ける。聴取される人は奥側に座るのね。逃げられないように、ということか。知らんけど。

 

 結論、都で8年前に買った自転車で、車体番号も分からないから、どうしようもない感じである。事情通に聞いたところ、車体番号にしても5年ほどで順々にデータを抹消していくそうなので―毎年何万台も新たな自転車が製造されるから仕方がない―、いずれにしても、どうしようもなさそうである。

 

 念のため市の不法投棄窓口と交通政策課に問い合わせたが、残念ながら該当はなかった。

 

 ・・・どうやら盗難ということになるのかな。これまで数十年に亘っていろんな場所に自転車を停めてきたが、撤去されることはあっても持って行かれたことはなかったから、いまひとつ現実味が湧いてこない。

 願わくは持って行った人がそのスピードに狂喜乱舞してくれればいいのだが、それにしても、この手の喪失感はじわじわこみ上げてくるということが、これまでの経験から明らかになっている。参るねえ。

 

 実際問題、足がなくなっちまうとだいぶ厳しい。ママチャリで庵治半島の坂を登るのはキツいし、何よりスピードが足りない。

 

 昨夕、釣り場から徒歩で帰ろうとして気づいたのだが、屋島ですら思いのほか遠かった。歩けども歩けども進まないのだ。

 途中でバスに乗ることを思いついて、時刻表を見たらすぐだったので乗って帰った。ツイている。

 

 結論、ロードはバスより速い。