頼母子

 息子は毎晩、世界とたたかっている。

 

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 乳児という存在は、まだこの世界に自分自身をうまく定位できていない。したがって夜が来て周囲が闇に閉ざされると、自身を容易に見失って、恐懼するのである。そのとき彼らが現世と唯一の接点とするのが母の乳房なのである、なんつって。

 

 

 げんこつやまの たぬきさん

 おっぱいのんで ねんねして

 だっこして おんぶして またあした!