映画の話12

 『キャリー』(ブライアン・デ・パルマ、1976年)

 

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 相当な残酷映画ではあるものの、テーマが何だったかと言われるといまひとつ判然としない。ホラー映画と割り切ってしまえばビビらせたもの勝ちであるともいえるのだが、目立った恐怖シーンは最後の箇所くらいで、むしろ途中までは青春映画と言いたくなるようなつくりなので、何やらイジメとか平等とかほろ苦いアドレセンスとかシンデレラとか、そんなイメージで見てしまう。しかしながらこのシンデレラは零時を過ぎると怪物と化して彼女を救おうとした者も含め全員を殲滅してしまう。おまけにキャリー親子も死んでしまうから何というかもう本当に救いがない。バッド・エンド。

 

 ここから教訓をひねり出すとしたら「人を傷つけちゃいけない」ということくらいだが、こんなのは改めて書くまでもなく自明の理だから90分近くかけて説明する必要はない。そうなってくると本作のテーマは救いの不在そのものなのかもしれないな。デ・パルマ恐るべし。