二等の設備は窮屈で、三等となるとむしろ貨物として積みこまれたほうがマシなくらいである。それでも陸路にくらべれば、三等だってピクニックに行ったようなものだ。
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みじかい通路のつきあたりにある小さな客室には、一組の椅子とテーブル以外には、なんの調度もなかった。そのように意図されているのだろうが、部屋は、それを設計した人物については、なにも語ってはいなかった。
まあいい、と僕はひとりごちた。人物というのは本来、省略できないものなのだ。会ってじぶんで経験し、判断するほかはない。要点をかいつまんで説明することなど到底不可能である。(この項了、次回に続く)