大巧は拙なるが如し(老子)。大智は愚なるが如し(蘇軾)。言い方はかくもいろいろある。
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1952年版RCA真空管マニュアルの日本語版が県立図書館にあったので読んでみたところ、巷でいわれるほどギターアンプに似た回路は載っていない。もっとも、昔の翻訳の場合、実用の役に立つものだけを選んで紹介していることもあるので、原書には入っているのかもわからない。
むしろ昔の真空管アンプ回路集などを繙くと、わりあい5F1に似たものが出てくるが、これもシンプルな構成だから自然に似てくるだけのような気もする。整流管でコンデンサインプット、プリ管とパワー管を1本ずつにしたら、それはそうなるよな。
それでもよく見ると部品の定数はだいぶちがう。まずはキットを完成させるのが当面の目標で、定数のちがいを実験してたしかめるのが次の目標で、回路図を見ただけで音像を想像できるようになるのが数年後の目標で、実際に狙った音をある程度だせるようになるのが10年後の目標、ということになるか。その過程でオーディオアンプも作れてしまえば言うことはない。
しかしキット製作がむずかしい。修理のほうも厳しい。にっちもさっちもいかなくなりそうだ。