ことが難解だとすぐに難癖をつけるくせに、あまり簡単にうまくいくと何かの罠ではないかと考えだしてしまう。
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右耳は浮遊して、左耳は地べたを這いずっている。気に入りのミュージックを聴いて、気分は爽快、なんにも考えない。
あらゆるアクティビティは経験されており、本は書かれすぎており、インプットはそこかしこに待ち構えていて、出力するいとまもなく、またその気力も根こそぎ奪い去ってしまう。脳の許容量をとっくにオーバーしていて、氾濫する外部記憶の河に流されつづけている。
何か感じたと感じた次の瞬間に、それが罠だと感知してしまう。己の感受性さえもまったく信用ならないんだ。
やれやれ、困るねえ。