リアディレイラーハンガー

 晩秋の早朝、峠の下りで転倒してから、後輪のギアがいちばん軽いところにはいらない。異音がして不穏な気配である。一説によるとこのギアを「グラニー・ギア」というそうだ。おばあちゃんギア、か。言い得て妙である。

 

 例によってお店に行くのが億劫で仕方がないので、そのまま4ヶ月ほど乗って、しかしいつまでも放っておくわけにもいくまいと、このほど出かけてみたところ、リアディレイラーハンガーがダメになっているという。

 

 聞けばこの部品、どうやら身代わり地蔵のようなものであるらしい。高価なディレイラーを破損から守るため、衝撃が加わると先んじて壊れるようになっているのだそうである。

 

 これは、人間の身体でいえば鎖骨のようなものかな。鎖骨は周辺の関節を守るために先に折れるようになっていると、20年ほど前、自分が左鎖骨を折ったときに整形の先生に聞いた。たしかに、肩関節は球状になっていて、まわりの構造も複雑だから、ここがこわれるとなかなか大変である。

 

 店員さん曰く「放っておくと最悪ディレーラーが車輪に巻き込まれて大変なことになるので、早めに交換した方がいいです」とのことだったので、交換したいのはやまやまなのだけど、あろうことかこのディレイラーハンガー、メーカーごとにパーツがちがうのだとか。なんてこったい。

 

 そして親切な店員さんがその場で検索してくれたところによると、中讃には私の乗っているメーカーの取扱店はないという。どうすりゃいいんだ。参るねえ。