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映画とは何か、とか主題は何か、なんて考える必要もなく楽しめる作品。とにかく台詞回しがすばらしい。
架空の町「宝町」を巡る物語、それは主人公シロとクロ―2人で1つ―の話であると同時に、街の話でもある。
変わりゆく街、そこで暮らす人々にとっての街。高度資本主義という名の機械の神がもたらす不可避の変化。永久不変のものはなく、大切なものが失われていく。
「この街を出て遠くへ行こう」と言う者がいる。「ここは俺の住む街じゃなかったよ」と言う者がいる。この街で生まれ、育ち、街にすべてを教わった者も。街に対する愛着が深いほど、受ける傷もまた大きくなる。
街は誰のものでもない。人は街に生き、街に死ぬ。人生の舞台としての街。
・・・実際、そういう作品だったのかどうかはわからない。ただそんな風に感じたというだけの話である。前に原作を読んだときには「力を思うさま解き放ちたいという欲望と規制との対立」というようなことを考えていた気がするから、当てにはならない。
同じ作品でもメディアが変われば中身は変わる。ゲームのリメイクでも、ハードが変わればずいぶん違ってくる。
おまけにプレイする方も変わっているのだから、感じるものが同じである方が珍しい、か。