さるえび

 めずらしく夢を見て、起きたら中身をわすれていた。よくあることだ。

 

 夢を見た、というと、寝ているあいだに脳が情報を整理しているのだ、と返されることがときどきある。するとなべてこともなく日々を送っていることになるが、いかがなものか。

 

 じっさい、情報を整理しているのだとしたら、いそがしいのにわざわざメモリをさいて宿主に映像を見せなくてもよさそうなものだ。だからこれは脳のサービス精神というよりは、リークというか漏洩というか、そちらのほうが実態にちかいようにわたしにはおもわれる。

 

 ゆえに、夢はそれがほとんど意味をなさない断片の連続であっても、そこから一足とびに核心に迫る可能性もないとはいえないので、目覚めとともにデータが消去されるのではないかとおもう。してみると脳は諜報機関で宿主は探偵なのかもしれない。

 

 今日は息子が寝坊していてテレビを見られない。PCもひらけない。大手をふって料理もできない。それで万年筆をすべらせつつ待っている。寝坊といっても7時をまわったくらいなので、まだ朝はじゅうぶんにながい。

 

 きのうは鮭のアラで粕汁をつくった。スーパーに地ものの小エビがあったのでじゃがいもと新玉ねぎとカレー炒めにした。このエビは瀬戸内ではガラエビといい、タイ釣りの餌にもなるが、正式な名まえを知らない。

 

 「エビでタイを釣る」というけれど、エビじたいがじゅうぶんにうまいので、もったいない気もする。欠点は殻が口のなかに刺さること。サイズもちいさいので、かき揚げに向く。

 

 以上、朝の連絡。