集中力の基盤は根気であり、根気を支えるのは体力である。
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前回のつづき。
女神転生やウイザードリイ、ダンジョンマスターといったゲームはいちおう手もとにあるものの、きちんとプレイできたことがない。世界観になじめていないせいだとおもう。おどろおどろしいのやホラーめいたのや深刻で荘厳な雰囲気の作品はむかしから敬遠しがちである。
今回、ラストバイブルのパッケージを見てふとおもいだしたのだが、アトラスのゲームに苦手意識がある気もする。ちいさいころに友だちの家で四苦八苦したせいかもしれない。
いわゆるドラクエ風のRPGで、敵があまりでてこないのにメチャつよく、ひとの話をちゃんと聞いていなかったせいだとおもうのだが行き先もわからなくなって、すぐにお手上げになってしまった。作品名は忘れてしまったが、さがしてもういちどトライしてみたい。
さておき、本作は名作認定されていいクオリティをじゅうぶんもっているとおもう。なんだかんだ『女神転生』関連で最後までプレイしたのはこの作品がはじめてである。
内戦やレジスタンスや司祭や枢機卿がでてくるような真剣なストーリーではあるのだが、それをファンタジーとユーモアの衣にくるんで、子どもでも違和感なくあそべるように仕立てている。細部の設定や緻密な伏線や人物の詳細な心理描写などというよりは、物語ぜんたいをざっくりと味わう作品だとおもう。
例によってエンカウント率は高い。とにかく高い。途中から敵がでなくなる魔法をつかえるので、それでだいぶ助かっているが、それにしても、である。
つくづくおもうのだけれど、ほかの部分はかえずにエンカウント率をさげるだけで、もっと多くのプレイヤーに歓迎されるゲームはけっこうあるのではないかという気がする。『ジャングルウォーズ2』もそうだし、『ロマンシング・サ・ガ』もそうである。筆者が戦闘よりもストーリーをすすめたいタイプであることをさっ引いてもそうおもう。
むしろどうしてここまでエンカウント率を上げなければならぬのか、その理由のほうが気になってくる。本作ではいちど仲魔にした魔獣と話すと戦闘終了できるので、対処がまるでされていないわけではないのだが、それにしても、である。
戦闘に関しては、上記の「はなす」コマンドをつかって仲間ならぬ仲魔との対話ができるので退屈しない。オート機能もあるのでサクサクいける。
惜しむらくは魔法だろうか。きちんと種類をそろえてあるのだが、積極的に使うタイミングがあまりない気がする。
あとは主人公が序盤におぼえる技もつかいどころがないようにおもう。なにかやりようがあったのか、わからない。
畢竟、『ファイナルファンタジーUSA』ほどではないにせよ、Aボタンを押しつづけるか、オートで物理攻撃を選択するだけで、最終面まで行けてしまう。さっさと戦闘をおわらせようとおもうと、オートで攻撃したほうが魔法をいちいち選択するより操作の手間がなく早いので、実際そうしてしまう。
聞きかじったところでは、このシリーズは敵を仲間ならぬ仲魔にでき、さらにそれを合成できるというのがポイントになっていたはずである。じっさい、本作をプレイして、ストーリーと魔獣合成のおもしろさだけで、最初の10時間くらいはエンカウント率の高さを気にせずグングンすすめられた。5歩もすすめば敵がでるゲームであることを考えれば相当である。
とはいえ中盤以降、魔獣の種類が加速度的に増えていくのに比して、じぶんのレベルよりあまり高い魔獣は基本的には扱えないために、魔獣が余りがちになってくる。終盤にちかづくとガシガシ合成する感じではなくなる。
「はなす」コマンドを有効につかえているあいだはエンカウント率の高さから気をそらせるのだが、それをつかえないとなると少々ツラい。終盤にいくにつれ、敵の出現と行動パターンの単調さがどうしても目立ってくる。
また、最終局面でいろいろなものがインフレして、武器、防具、アイテム、カードの大盤振舞いになっているところもすこし気になる。たまったお金がちょうど放出されるような恰好になっているのだが、強力な武器がつぎつぎに簡単に手に入るものだから、ありがたみというものがない。敵がそんなにつよくないせいで装備をあまり吟味しないから、よけいにそう感じてしまう。
ゲームでもなんでも、進むにつれてインフレになるのはしかたがないが、終盤にきて全体的に疲れている感じがしないでもない。製作の締切や人員などの現実的な問題もあったのかもしれない。
もっとも、3日ちかく集中してプレイしていたので、いくらかはじぶんの疲れかもしれない。わからない。
つよかったのは序盤のおわりにでてくる3体の魔獣と、トーナメントの決勝戦、あとはラスボスくらい。むしろ突然つよいボスがでる感じになるので、油断していていきなりぜんめつさせられる形になりがちである。こういうときほどセーブをちゃんとしなかったりするので、敗北したときのショックは大きい。
なお、何体かボーナスモンスターがいて、多めの経験値とお金をもらえる。なんせ敵は基本的につよくないです。
ストーリーは大柄かつ骨太で、サスペンス効果もあって中盤まではたのしくプレイできてしまう。無実の者が追われながら謎を追っていくというのは物語の定番にして王道である。(この項了、次回につづく)