【蔓延筆】・・・筆がはびこってイトミミズのようにのたくり、一向に収束しないさま。
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万年筆ばなしのつづき。
しらべていくと羽根ペンの時代がとにかくながい。19世紀にはいってようやく、ペン先が金属のつけペンが登場し、普及しはじめる。順序としては羽根ペン―スチールペン―万年筆。万年筆は軟筆なので、筆の延長という意味ではわれわれと親和性はたかいといえる。
書くスピードをゆっくりにするには、ペン先をやわらかくすればいいんじゃないのということで、14金から18金にかえる、というような芸当は財布のかるい私には不可能なので、このまえ実家でもらったパイロットの3,000円の合金のペンをためしてみることにした。
ひとまずもちかえったものの、インクは当然きれているし、インクボトルもなかったので、あちこちさがすことになった。今日び万年筆のインクなどそうは売っていない。とはいえ、もともと文房具店じたいがすくないこともあって、探索にもそこまで時間はかからなかった。
結果として、意外といろいろなところにインクを置いていることがわかった。ロフトなどのオシャレ系の店舗、画材を扱っている老舗、百貨店のブティックなどである。結果として、近場では国道沿いの「文具生活」の品ぞろえが群をぬいていた。海外ブランドのカートリッジもやたらとそろっている。
もっとも、売れている様子は感じられない。これが自家焙煎の店だったらスルーしてしまうだろう。古いインクは焙煎後に時間のたちすぎたコーヒー豆とおなじように好ましくないらしいが、こちらもこだわりはないので、あそばせてもらえるだけありがたい。
もとがブルーインクだったことから、パイロットのブルーのインクボトルを購入してきた。70mlで1,100円。高いのか安いのかわからない。
インキの補充方法にひと工夫あって、いちどボトルをさかさまにしてもどすことで、中央部にインクがたまるような設計になっている。単純だけれどナイスアイディアだとおもう。
ドブロギターもそうだが、つくづく必要は発明の母である。ああしたい、こうしたい、そうなったらいい、どういうふうになりたいかがはっきりしないと、アイディアは具体化してこない。
ともあれ、ひとまず書斎ではパイロットをつかって記事を書くことにしよう。目標はインクボトルをつかいきること。以上、連絡おわり。