似非人事

 制度としての法がよくできているだけでは不十分だ。それを運用するにあたっての哲学がなければならない。ポリシーといってもいい。モットーといってもいい。価値観でもスタイルでもこだわりでも軸でもなんでもいい。とにかくそういうものが要る。

 

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 前回のつづき。

 

krokovski1868.hatenablog.com

 

 メンバーシップ型とジョブ型を併用し、人材の多様性と弾性を確保する。ふつうのことだ。

 

 コアとなるスーパー職員は育成枠と中途採用でとる。すでに成長してビジョンのあるひとをとる。スーパー職員になれなかったひとは、50すぎたら肩たたきはしないが退職金を手厚く用意する。

 

 畢竟、70まで働いてほしいのはスーパー職員のみである。仕事は慈善事業ではないので、必要なのは成長していける職員だけである。イマイチなひとの面倒をいつまでも見つづけるわけにいかない。

 

 いっぽう、地方採用はジョブ型メインでいく。これは、支店を減らしてからにしたほうがいい。そのうえで、地方採用を復活させる。このなかから、中央志向のある優れた人材がいたら、定期的に契約形態をかえて本部に登用する。

 

 この地方採用の前段階として、スタッフを登用する。優秀かつ正社員になりたいスタッフを採用できるようにし、そのうえで、コア人材になれるひとは本部一括採用されていたのとおなじ扱いにする。ことによったらスタッフの士気もあがるし、すくなくとも支店の経験値は蓄積される。

 

 同時に、はたらきがわるいときは契約形態を元にもどせるようにする。これと対応して、働かないひとをちゃんと降格できるようにする。それとともに、本部支店をとわず、部署の僭主をあぶりだすために、陶片追放できるようにする。

 

 追放といっても、べつにやめさせる必要はない。スライドすればいい。スライドさきがなければ、直属の部下をもたず、管理職の直接の命をうけてうごく職をつくればいい。カラッカラにドライにする必要はないが、能力があってやる気のあるひとが権力をもてるようにする。成長せずやる気のないひとを過度に手厚く世話しない。

 

 中途採用ばかりでなく、すでにいるスタッフをもっとちゃんとみる。人生の経験をつんだ有能な人材がかなりいる。

 

 本部一括採用というのは、まえに書いたとおり、祭りのひよこを大量に買ってくるようなものなので、たいていは育たない。これは人事のせいではなく、誰がやってもそうなる。ハタチそこそこで己の資質をわかっている者はほとんどいないし、いたとしてもウチには来ない。同様に、35歳前後のいちおうの完成形を、10年以上まえから予測することも不可能である。

 

 ゆえに、本部一括採用をふやしても、人事の自己満足いがいの意味はあまりない。そだてるのにおかねはかかるし、ハズレを抱えつづけなければならない―かんたんにクビにできないーことをかんがえればなおさら。したがって中心は新卒でいいが、30過ぎ、40過ぎの2パターンを目処に中途をもとめて、3本柱とする。

 

 ここまできてようやくふつうの組織。遠い。