不省

 「富と名声とかけて海水ととく。のめばのむほど渇いてくる。」

―ドクトル・クロコフスキー―

 

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 メンバーシップ型とジョブ型があるとして、メンバーシップ寄りの組織のばあい、ジョブ型にちかづいてはもどるという動きをくりかえせばよい。ときどきジョブ型にすることで、仕事を明確にする効果が期待できる。

 

 新卒は、ここ30年ほど、3年以内に3割ちかくが辞めつづけている。したがって、最初から志をもっていないひとをとってもしかたがない。新卒を採るならコア人材にかぎる。組織にいられる時間がながいから、社風を浸透させることもできる。

 

 つまるところ新卒はギャンブルであり、めちゃくちゃないいかたをすると夜店でひよこを買ってくるようなものなので、生え抜きコア人材として、スペシャルとジェネラルのふたとおりを想定しつつ、30~35歳で仕上がったひとも、おなじようにスペシャルとジェネラルで中途採用する。要は新卒が3人やめたら3人とるような具合にかんがえる。

 

 いっぽう、40以降のひとを基本的にスペシャルでとる。中途で年齢があがるほど、ジョブ型をふやしたほうがいい。条件をよくすれば中途でも優秀なひとをとれる。このへんはシミュレーションRPGのキャラクター育成となんらかわりはない。

 

 そういうわけで、若手はむやみにたくさんはいらない。採用が人事の自己満足にならないように、おかねの無駄にならないようにしたほうがいい。

 

 下手な鉄砲なら撃たないほうがよく、近づいて狙ってこんぼうをつかったほうがいい。すなわち中途採用をしたほうが多様性の意味でものぞましい。(この項了、次回につづく)