デカンショ

 ひとの機嫌をとるてっとりばやい方法。自分の失敗談やツイていなかったはなしをする。「でも」が口ぐせになっているひとにも有効なことがある。

 

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 何に苛立っているのかわからず苛立つというのは悪循環であり、負の連鎖をまねく。不快さの原因についてかんがえることがすでに不快なので、不快なことにでくわしたら、気づかなかったふりをする以外に方法はない。負の感情に向き合ってはいけない。それは増大させるだけ、事態を悪化させるだけだ。

 

 不快さのとりこになること、被害者面をすることは、それじたいが被虐的な快楽であるため、われわれはその誘いをことわることができない。結果としてますます不快になっていく。むつける、すねる、ふてくされる、エトセトラ、エトセトラ。くりかえすが、負の感情に対しては、われわれはそれをかわし、いなし、翻って、その場から遁走することしかできない。

 

 なお、ショーペンハウエルいわく、ひとが取るに足らぬことをいいあっているとおもったら、腹をたてたりせずに、喜劇だとおもうといいそうである。以上、連絡おわり。